自然エネルギーのまちづくりに向けて

1 はじめに

A 地球温暖化

日本は、CO2排出大国。世界で第5位と排出量が多い国です(約12万t2017年度)。豊かな自然と住みやすい環境を子供や孫たちに残すためには、CO2を削減し、地球環境に大きな負荷を与える化石燃料によるエネルギーへの依存度を減らして、太陽光など自然エネルギーを利用しつつ、省エネの工夫も積み重ねる必要があります。
我が国の電源構成に占める自然エネルギーの比率は16.0%(水力7.9、太陽光5.2、他2.9)となっており、36.7%のドイツ(水力3.1、風力16.4、他17.2)や39.3%のスペイン(水力6.9、風力18.0、他14.0)といった諸外国と比べて、低い水準にあります。

B 地域活性化

 自然エネルギーを活用した「脱炭素社会」への取り組みは、そのための企業の創生と誘致を通じて、地域経済の活性化とまちづくりを促します。
京都市は21世紀後半に温暖化ガスの排出をゼロにし、自然エネルギーを中心に電力を賄うとする「プロジェクト‘0’への道」計画を国内で初めて策定、横浜市、徳島県(条例制定)、山梨県なども追随しました。
東京都もこのほど、国の固定価格買取制度(通称FIT)による高額買取りが終わる家庭用の太陽光発電を、電力会社が買い取る価格に数円上乗せして買取り、電力の地産地消を目指す方針を発表しました。

2 我孫子市のエネルギーの現況

 我孫子市の人口は2019年3月現在、約132,000人、世帯数は約59,000軒です。エネルギーには、大別して電気エネルギーと太陽熱・地中熱など熱エネルギーがありますが、ここでは電気エネルギーに限定して考えていきたいと思います。

A 電力消費量

 全世帯(家庭)の年間電力消費量は、省エネルギーセンターの調べによる一世帯あたりの数値4,430kWh/年を基に計算すると、約2.6億kWhとなります。その支払い代金は、1kWh当たりの電力単価を27円として約70億円となります。
業務を含めた我孫子市全体の年間電力消費量は4.8億kWh、支払い代金は114億円となります。

B 太陽光発電による年間発電量

 我孫子市の太陽光設置済み容量は、家庭・業務を含め全体で2019年3月現在約19,600kWとなっています。1kW当たりの発電量を1,100kWhと仮定して、太陽光発電による年間発電量は約2,200万kWhとなります。その年間電力消費量に対する比率は約4.6%(全国5.2%、2017年現在)となります。

C 公共施設など

 我孫子市内の九つの公共施設の太陽光パネル設置面積は2019年現在、約602㎡、設置容量は100kWとなっております。さらに家庭用太陽光発電システムの補助件数及びkW数は、2018年までの17年間の累計でそれぞれ1,314件、約5,290kWとなっています。
両者の合計設置容量は約5,390kW、その年間発電量は約593万kWhとなります。

3 将来に向けて

A 自然エネルギーのまちづくり

 上記のような動向に対応して、「自然エネルギーをすすめる我孫子の会」では、電力消費支出の一定割合を自然エネルギーで賄い、我孫子市と協働して、省エネと創エネにより自然エネルギーを活用したまちづくりを考えています。
市内の電力消費支出を地域に回し、市内の自然エネルギー産業を育成する等、地域の活性化を図ることを考えてみたいと思います。皆様いかがでしょうか。
10%なら約11億円、20%なら約23億円、30%なら約34億円のお金が地域外に流出することなく、地域でまわすことが出来ます。市内の雇用拡大につなげることも可能だと思います。
世界の再生エネルギー産業の雇用数は、2016年現在982万人との情報があります。日本でも現在33万人(鉄、電力など基幹産業6業種で14万人)今後は200万人に拡大すると予測されています。
 また、我孫子市が自然エネルギーを活用したまちづくりを考えていることが、内外に広まれば人口流入につながるのではないでしょうか。

B 市民発電所の歴史と現状 

  ドイツでは1991年に自然エネルギーを買い取る電力供給法を制定、現在、発電所の所有は市民及び農民が50%を占めています。日本の最初の市民発電所は1994年建設の宮崎県串間市太陽光発電所とされ、現在はNPO法人・株式会社を中心に100の発電会社が設立され、1000か所の市民発電所が運営されています。

4 具体的な推進の在り方

A 自家消費

 国は、2012年から民間に太陽光、風力などの自然エネルギーの利用による発電事業を促すため固定価格買取制度(通称FIT)を始めました。この制度は、このような発電事業者の発電した余剰電力を大手電力会社に、国の定めた固定価格で買い取らせる、というものです。これにより、自然エネルギーの利用による発電事業の普及には一定の効果はありました。
ところが、大手電力会社はこうして買い取った価格を一般家庭の電気料金に上乗せしたため、電気料金の値上げを強いることとなりました。
この制度も、矛盾が露呈し発電事業が縮小されることが懸念されます。
 今後は、発電した電力は自分で消費する、自家消費の時代になると思われます。我孫子市の住宅及び非住宅(事務所・工場・病院・介護施設など)の延べ床面積は、我孫子市のデータによると2019年1月現在、642万㎡、うち住宅は545万㎡、その屋根面積は、218万㎡と推定されます。
2019年3月現在、太陽光発電設置容量は19,600kW、設置面積は1kW当たり10㎡と仮定して196,000㎡となります。
 我々の身近なところには、まだまだ太陽光パネル設置できる屋根があります。自家消費を実現するには、蓄電池が高いなど課題がありました。
蓄電池の価格は、容量1kWh当たり30万円から40万円といわれていましたが, 直近では7万円程度まで下がってきているとの情報もあります。
徐々に課題も解決していくものと思われます。

B ソーラーシェアリング

自然保護と農業の活性化の観点から、農作物の栽培を行いながらエネルギーを創るソーラーシェアリングを推進していく活動が、最近は活発化しつつあります。今までは、農水省の定める「農地への太陽光パネル設置条件」(容易に撤去可能な構造、収穫量が2割以上減少していないなど4条件)とコストの高いことがネックとなり、ソーラーシェアリングはあまり進んでいませんでした。
様々な課題を解決する技術として、近い将来実用化が期待される、有機薄膜太陽電池が注目を浴びております。
無機系のシリコン太陽電池に比較して、安価(常温で印刷)軽量(厚さ数ミクロン)透明(着色可)曲がる、などの利点があり、変換効率もシリコン型に匹敵します。ただ、耐久性など課題もあります。
そういった特徴からソーラーシェアリングへの活用が考えられます。
農作物栽培に有効な光(赤色及び青色)で栽培を行い、農作物栽培に無効な光(緑色)を活用して太陽光発電を行うことが出来ます。
ビニールハウスで発電可能なため、農地に対して100%設置可能になり、発電量は増加します。また波長の違う全ての光を活用することが可能になり、収穫量は減少しません。
我孫子市には、農地面積1,240haのうち、遊休農地が42.8haあります。(我孫子市農業委員会2018度)
我孫子市及び農家の方々と協力をしながら、ソーラーシェアリングを研 究、検討し、この遊休農地を活用する方法を考えてみようではありませんか。

C 太陽光発電の今後の課題―2018年21号台風の事例からー
2018年末経産省が、21号台風による太陽光パネルの損傷の状況を公表しました。損傷の原因は、設計風速を大幅に超過していたことが判明しました。設計上の風速は34m/sとなっていますが、実際は最大瞬間風速60m/s以上を記録していました。
今後太陽光パネルの設置については、十分留意する必要があると思われます。

5 おわりに

我孫子市は、2001年から地球温暖化対策実行計画「あびこエコ・プロジェクト」に沿い、省エネと併せて市の施設の屋根を使用して自然エネルギーの活用に努めています。
われわれ市民としても、まず省エネに努め、さらに設置可能な場所に太陽光パネルを設置し創エネに努め、地域で電力を融通し合うスマートコミュニテイの建設を考えてみませんか。
実現するには、まだ様々な課題もあります。
様々な課題を克服しながら、将来を見据えて子供達、孫たちに誇れる 
自然エネルギーのまちづくりに向けて考えてみようではありませんか。

 なおここに示された数値は、資源エネルギー庁などの公表数値をもとに推計したものであくまでも参考数値です。

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